エアコンには同じシリーズの機種でも6畳用や14畳用などさまざまなサイズがあります。
なんとなく「エアコンを付ける部屋の大きさに合わせて畳数を選ばないといけないんだな」と思うでしょうが、実際どのように選べば良いかわからないという声もよく聞きます。
部屋に対して小さすぎる畳数のエアコンを選んでしまうと部屋が涼しくなるまでに時間がかかりますし、逆に大きすぎる畳数のエアコンを選んでしまうとエアコン自体の値段が上がりますし月々の電気料金もかさんでしまいます。
そこで、本記事では畳数の選び方やおすすめの畳数を解説します。
エアコンの畳数の選び方
まず、エアコンの畳数が違うと何が変わるのか、畳数の選び方について解説します。
エアコンの畳数は定格能力によって変わる
エアコンの冷やしたり温めたりする力(冷房能力/暖房能力)のことを業界では「定格能力(単位はkW)」と呼びます。
この定格能力が大きいほど、より広い部屋を、より早く冷やしたり温めたりすることができるわけですね。
ただ、「定格能力が〇kWです」と言われても実際どれくらいの部屋の広さまで使えるかわからないですよね?
そこで、家の断熱性能や気密性能などを考慮して定格能力を部屋の広さに計算しなおしたのが『畳数』というわけです。
「畳数のめやす」は日本電機工業会によって計算方法が規定されており、各社はこの計算方法に基づいて畳数を表示しています。
一般的な定格能力と畳数の関係は以下の通りです。
定格能力 | 畳数のめやす | おもに畳数 |
---|---|---|
2.2kW | 6~9畳 | 6畳 |
2.5kW | 7~10畳 | 8畳 |
2.8kW | 8~12畳 | 10畳 |
3.6kW | 10~15畳 | 12畳 |
4.0kW | 11~17畳 | 14畳 |
5.6kW | 15~23畳 | 18畳 |
6.3kW | 17~26畳 | 20畳 |
7.1kW | 20~30畳 | 23畳 |
各メーカーによって多少の違いがある場合もありますが、どのメーカーも大体このくらいの数値になっています。
「畳数のめやす」は日本電機工業会が定めた規格である「JEM 1447 : ルームエアコンディショナの冷房及び暖房面積算出基準」に基づいて定格能力ごとに畳数として計算したもの。
「おもに畳数」は具体的な規格はなく、各メーカーの判断で「ざっくり適用畳数はこれくらいだよね」とわかりやすく書き直したもの。概ねどのメーカーも同程度の数値となっている。
畳数は1964年の基準であることに注意!
どのメーカーも大体同程度の定格能力と畳数になっているのですが、一点注意が必要です。
エアコンの定格能力を畳数に変換する計算を行う際には家の断熱性能や気密性能を考慮する必要があるのですが、この計算で考慮されている家の断熱性能や気密性能は1964年当時のものです。
断熱性能や気密性能が低い昔の家を想定した計算になっているわけですね。
上記表のとおりにエアコンの畳数を選んでしまうと、現在の家の断熱性能や気密性能を考えるとかなりオーバースペックなエアコンを選定してしまうことになる点に注意が必要です。
「畳数のめやす」を計算する際に引用している規格「JEM-1447」は、1965 年制定(1964年原案)のHASS108 冷暖房負荷計算表で規定された「単位床面積当たりの熱負荷値と室の冷暖房負荷の算出式」が基になっている。HASS108自体は現代に合わせた変更はなく、「畳数のめやす」の計算基準は1964年のままであるといえる。
現在の家なら小さめの畳数でOK
ということで、各エアコンメーカーが表示している畳数はかなりオーバースペックです。
2010年以降に建てたような最近の家なら、小さめの畳数のエアコンでも十分使えるでしょう。
畳数が大きいほどエアコンも高くなりますので、表示されている畳数より小さめのエアコンを選んでおくのがおすすめです。
エアコンのおすすめ畳数
ここからは具体的に個人的なエアコンのおすすめ畳数を解説します。
部屋の種類 | エアコンのサイズ |
---|---|
寝室 (6~10畳) | 6畳用 |
子供部屋、書斎 (6~8畳) | 6畳用 |
子供部屋、書斎 (10畳) | 10畳用 |
リビング (16~20畳) | 14畳用 (200V) |
寝室なら6畳用がおすすめ
一般的な寝室なら6畳用のエアコンがおすすめです。
一般的には寝室の大きさは6~8畳、大きくても10畳程度でしょう。
そのくらいなら6畳用のエアコンで十分対応可能です。
特に、寝室は基本的に寝る場所であり体を動かして発熱することもないでしょうから、熱源になるものも特にないでしょう。
また、寝るときに冷房をガンガン掛けたいというよりは穏やかな風を送りたいという人がほとんどだと思います。
そういう意味でも、寝室なら6畳用のエアコンで十分対応できるでしょう。
子供部屋や書斎は6or10畳用がおすすめ
子供部屋や書斎は6畳用もしくは10畳用をおすすめします。
子供部屋や書斎の広さも一般的には6~8畳程度でしょう。
そのくらいなら6畳用のエアコンで十分賄えるはずです。
ただ、寝室と違ってある程度人が活動する部屋ですから寝室よりは大きめのエアコンを選びたいところです。
具体的には、6~8畳の子供部屋や書斎なら6畳用、10畳の子供部屋や書斎なら10畳用をおすすめします。
リビングは14畳用(200V)がおすすめ
部屋が広く、人も活動するリビングは14畳用(200V)がおすすめです。
人によってはリビングでも6畳用でイケるという方もいるようですが、いくら畳数の計算方法が古いとはいえさすがにリビングは14畳用くらいのサイズが合ったほうが良いと考えます。
基本的にリビングでは人の動きがありますので、結構熱の動きが激しいです。
- 人間からの発熱がある
- 人の出入りの際に外気が入る
- 料理をする際の発熱がある
このように、人が活動するリビングでは室温が変化する要因がたくさんありますので、リビングを快適な温度に保つためにはエアコンのパワー、つまりある程度のエアコンサイズが必要です。
とはいえ、さすがに20畳用などは一般的なリビングには過剰だと思います。
部屋の広さや吹き抜けの有無によっても変わりますが、一般的なリビングなら概ね14畳用(200V)で対応可能です。
なお、14畳用のエアコンは100V仕様と200V仕様がありますが、エアコンの効きが良く電気料金も変わらない200V仕様をおすすめします。
家の配電盤(ブレーカー)やコンセントを200Vにする必要があるのがネックですが、くらしのマーケットならこれらの工事も併せて施工可能な業者も簡単に探せますので、ぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
本記事ではエアコンの畳数と選び方について解説しました。
エアコンの定格能力に応じて畳数が計算されていますが、その計算の基になる基準は1964年とずいぶん古いものです。
最近の家の断熱性能や気密性能を考慮するとオーバースペックになりがちなので、エアコンの畳数は小さめのものを選ぶのがおすすめです。